システム開発でお客様の懐へ深く入ってみた結果の話

こちらの記事を読ませていただいて、自分の現状を考えてしまった。

 

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僕は中小SIreのエンジニアである。そして記事にあるような「全員営業がモットー」という会社にいる。営業と一緒に今まで取引のない会社への訪問もするし、「営業の方だと思ってました」と言われたこともある。そして、エンジニアとはいえ、お客様を最優先に考え、お客様の言っていることが理解できなければ、「メールや電話ではラチがあかない。会って話を聞く!」と言って、お客様の所に行きホワイトボードに書きながら「あーでもない。こーでもない。」を繰り返し、結果として「よろしくお願いします」を勝ち取れた。

 

この経験自体は楽しかったし、自分の成長も感じられた。

エンジニアの目線だけでは思いもつかないことや、「え?それでいいの?」ということを、お客様(の現場)は持っているし、逆もまた然り。お客様が難しいと思っているがエンジニアにとって簡単な案件を高く売り、お客様が簡単だと思っているがエンジニアにとって困難な案件を安く売る。時には頭を下げて期間の延長をお願いすることもあれば、頭を下げられ「何とかこの日までに・・」とお願いされることもあった。費用と期間はお互い納得いくものであり、これが「Win-Winの関係」か、というのを身にしみて実感した。

 

結果として、お付き合いは7年継続している。

当初は3年計画でシステム開発と増強を行い、4年目からは縮小し問い合わせを中心とした保守を行なっていたが、4年目の保守の途中で半年後に合併することが開示され、システムの根幹から見直しが必要となり、他の競合と相見積もりすらせずに追加の発注を貰えた。半ば無理やりとはいえ、短い期間で合併にむけたシステム改修を終わらせ、続く5年目、6年目、7年目(今)も合併に伴い、業容が目まぐるしく変化しているため、当初考えていた以上の投資をして頂いている。ただ、僕自身は変化の内容を考えると、投資額は少ないと感じている。

 

投資額が抑えられている理由は明確で、このお客様では「同じ業者との契約は原則3年まで」という規定がある。言ってみれば、社内規定違反に近いのだが、合併という大きな変化に当時担当者からは「他のところに依頼してうまくいくはずがない!」だった。ありがたい限りです。

 

ここから顛末のお話(まだ終わってないけどね)

上に書いた通り、お客様の規定では「3年まで」となっているので、4年以上も継続していることに対して、社内では良くない印象を持たれているようだった。(憶測なのは「肌で感じるものがあった」ということ)

 

そして、6年目の契約期間の途中で、それまでずっと担当していた情報システムの担当者が、引き継ぎ期間1ヶ月という短さで出向の辞令を受けてしまった。代わりに担当となったのは、システム開発など過去に関わったこともない50代前後の方だった。(合併先にいたそれなりに役職の高い方)

 

一連の流れをすぐそばで見ていたこちらとしては、今までのお付き合いから「できる限り助力しなければ」と考え、この1年間は本来はお客様側で実施すべき「過去の経緯の説明・教育」「システム変更に伴う現場の課題・問題の抽出」「システム変更結果の現場への説明」と言った内容をこちらで巻き取っていった。本来はコンサルテーションに近い内容なので、別料金を取るべきなのだが、急すぎる状況も状況だったので、無償に近い状況で実施してきた。(一応、別途契約を行う交渉はしていますが、検討の結果断られてます)

 

僕自身は半年〜1年である程度お客様側でも自立して頂き、システム開発の発注者と受注者の適切な関係にむけて努力して貰えると思っていたのだが・・・

 

  完 全 に お ん ぶ に だ っ こ で し た

 

「今までありがとうございました!」と今すぐ言いたい。そんな感じ。

でもまあ、ビジネスとしてそれはやってはいけないし、今はどうやら急にシステムの初期構想をひっくり返すレベルの組織変更をしたくなったようで、システム全体の改修をしているので、これが落ち着くまではお付き合いしなければと思っています。

 

結果として学んだのは

  • どれだけ良好な関係でも担当者が変われば関係も変わる
  • 相手を思いやり深い関係を築いても一線は引いておくべき
  • お客様とはいえ、時には突き放す必要もある(甘やかし過ぎた・・)

と感じています・・・

といっても、後悔している訳でもないし、別の仕事をしたとしても、新しいお客様が現れれば同じように懐に飛び込む動きはすると思う。何事もバランスが大事です。